2015年6月23日火曜日

楽しい記憶でうつ病が改善する?




マウスに刺激を与え、楽しい記憶を思い出させることで、うつの症状を改善することに成功したと理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長らのチームが発表。



うつ病では、過去の楽しい体験を正しく思い出せなくなるという特徴があることから研究チームは「過去の楽しい体験の記憶に関わる神経細胞を活性化することで、うつ病の症状を改善できないか」と考え光遺伝学という手法を使って実験を行った。






<実験と研究成果>

オスのマウスにメスのマウスと過ごすという“楽しい”体験をさせ、そのときに活動した脳の海馬体にある歯状回という部位の神経細胞を遺伝学的手法で標識する。



この手法で標識をすると、実験者が望むタイミングで光をあてることで標識した細胞を活性化することが可能となる。



次に、そのオスのマウスに体を固定するという慢性ストレスを与え、「嫌な刺激を回避する行動が減る」、「本来なら好む甘い砂糖水を好まなくなる」という行動に示されるような“うつ状態”が引き起こされた状態にする。



うつ状態のマウスの楽しい体験の記憶として標識した歯状回の神経細胞に光をあてて神経活動を活性化したところ、嫌な刺激を回避する行動が再び現れ、砂糖水も再び好むようになるといううつ状態の改善がみられた。



また、このうつ状態の改善は恐怖や喜びなどの情動の記憶に関わる「扁桃体」や、やる気や意欲、報酬を得たときに感じる喜びなどに関わる「側坐核」という領域につながる回路の活動によるものであることが判明。



これは、光による神経細胞群の活性化によって、過去の楽しい体験の中で実際に感じた喜びの記憶や感覚が呼び起こされて、症状が改善したことを示している。

(理研プレスリリース)



これらはまだマウスでの実験段階の話で人間にもそのまま当てはまるのかがこれからの課題となりますが、今後のうつ病の新しい治療法開発に役立つかも知れませんので大いに期待したいところです。

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