2015年10月12日月曜日

早生まれは自殺リスクが高くなる?




4月2日前後に生まれた若者の自殺率を比較したところ、早生まれの若者の自殺率が約30%高いことが判明



▼分析

早生まれの子どもは同学年の他の生子ども比較して身体的・精神的発達が相対的に遅いため、学業やスポーツの分野で不利な立場に置かれることはこれまでたびたび報告されてきました。



大阪大学大学院国際公共政策研究科の松林哲也准教授と米国・シラキュース大学の上田路子リサーチアシスタントプロフェッサーによる本研究では、『早生まれの者は年齢が低いため学業やスポーツの分野で不利な立場に置かれる傾向が強く、この影響が青年期における自殺リスクの上昇として顕在化する』という仮説を立て、早生まれと自殺の関係性を、仮説をもとに統計手法を用いて分析。






▼研究結果

日本の教育制度では一学年は4月2日生まれから翌年の4月1日生まれの子どもまでで構成されます。そこで、本研究グループは、日本の教育制度上、一学年が4月2日生まれから翌年の4月1日生まれの子どもで構成されることを用い、4月2日前後に生まれた15歳から25歳の若者の自殺率を比較しました。



仮説の検証には厚生労働省の人口動態調査を用いました。
1974年から1985年にかけて生まれた人々のなかで、15歳から25歳の間に自殺で死亡した日本人を調査の対象として、死亡者の生年月日別に自殺死亡率を算出しました。



その結果、自殺死亡率の平均は0.126%であり、これは調査対象の期間中に生まれた計2000万人のうち0.126%(約25000人)の人々が自殺で亡くなったことを意味します。



非連続回帰デザインという統計手法を用いて分析した結果、学年内で一番年上となる4月2日以降に生まれた若者の自殺率よりも4月1日以前に生まれた若者の自殺率は高いことが明らかになりました。



就学時の年齢の違いが学業やスポーツの成績などに影響を与える可能性は先行研究によって指摘されてきましたが、本研究はその影響が青年期の健康状態や自殺リスクにまで及ぶこと、そして早生まれの影響は学齢期を越え長期にわたって続くことを示しています。



参考:早生まれが青年期の自殺リスクを増加させることを初めて明らかに(大阪大学)

0 件のコメント:

コメントを投稿